原作モノの映画化ってのは、確かに興行的には一定の成功が約束されているものなんだけど、作品としての評価はどうしても厳しいものにならざるを得ないみたいね。
やっぱ原作を知ってるコアなファンってのは、自分が原作で体験した感動と、どうしても比べちゃうだろうから。
俺も実際、数えきれないぐらい原作付きの映画を観てきたけど・・・原作以上の出来の映画って、果たしてどれくらいあっただろう?
いや、下手したらゼロかもしれないなあ。
この「花田少年史」ってのも原作が漫画であるんだけれども(しかも完成度高し)、やはり例に漏れず原作の呪縛から逃れられなかった感がある。
決して悪くはないんだけど。
いや、むしろ前半、運動会のエピソードまではテンポといい演技といい内容といい、原作を凌駕していたと思えたんだが。
ラストにかけて、弁護士のエピソードで見事にコケタ!
誰が三流CGで描いた安いドラゴンボールを観たいと思うのか?
幽霊女子高生が実の父に向かって「地獄に堕ちさらせっ!」って何?
ドン引きもいいところだよ。
いやあ、夏休み映画で子どもを喜ばせなくっちゃってのもわからないではないけど・・・あまりにもお粗末。
原作の設定を借りて、イキイキと登場人物を描画し、揺れ動く親子の感情の葛藤を丁寧に描いた前半と、完全オリジナルの後半のシナリオのクオリティーがまるで違っていたように思う。
これが商業映画の宿命なのかなあ。
スポンサー絡みで色々としがらみがあったのかもしれない。
「夏だし、ここは子どもが喜ぶドラゴンボールとお化けで行きましょうよ!辛気くさいのはやめてね、ぱぁ〜っとね、派手にぱぁ〜っと・・・で、題名もね、特にストーリーには関係しないけど『秘密のトンネル』ってつけましょうよ!その方が絶対うまくいく!ウケますから!」
・・・あり得る話だorz。
まあそう言う意味ではお子様は喜んでたかもしれないな。
大人は・・・どうだろ?
夜中、離れの便所まで行くのが恐くて縁側からオシッコするとか、映りの悪いテレビを叩いて直すとか、ちゃぶ台ひっくり返す親父とか、実はかなりオッサンオバハン世代を意識した描写になってたりする。
原作の元々の設定が昭和40年前後の話だったので、当たり前と言えば当たり前だが、しかし映画の方は現代が舞台になっているわけで、それをわざわざ田舎での話にまでして「昔懐かしい描写」を引っ張って来るってのは、やはりオッサンオバハン世代も意識しているとしか思えない。
そうなると後半のドラゴンボールだか妖怪大戦争だかの展開は大人対象の映画として観たときにどうしても不自然に思えてしまう。
この映画が一体誰をターゲットにしているのかが見えてこないのですよ。
以前観た「三丁目の夕日」は、完全にオッサンオバハンがターゲットだった。
jizo.net: 「Always 三丁目の夕日」はゆるい映画。・・・そして殺意。
しかもそう言う意味では興行的に成功をおさめたし(映画としての出来不出来は問わず)。
敢えて観客を絞った三丁目や、亡き人との心の交流の中で主人公が大人へ成長する姿を丁寧に綴った一色まことの原作なんかと比べると、やはりこの映画、中途半端な印象を持ってしまうんですね。
一路が単なる傍観者のまま、過去の両親や少女、弁護士のエピソードに巻き込まれていただけだったのも、後半がグダグダだったひとつの理由かもしれませんな。
だいたい、これまで張っていた伏線を、懇切丁寧にわざわざ説明していくような取ってつけたようなシーンの連続ってwwww。
様々な角度から登場人物を描こうとしている努力はわかるんだけど、それが後半、映画として感動に繋がらないのが痛かったです。
弁護士の言動が意味不明だったしね。
う〜む。
ただね、役者はよかった。
特に子役。
一路役の須賀健太は観ていて不安がない。
三丁目のときとは全然違うタイプの子どもを難なくこなしていて驚いた。
「天才子役」と言われるだけのことはあるかもしれない。
原作の一路のイメージにピッタリだった。
しかし、あんなに坊主頭が似合うとは思わんかったな・・・。
あと、壮太役の松田昂大。
この子も上手い。
というか味がある(!)。
なんていうのか子ども独特の秘めた想いっていうか、言動に出さないで表情で語るというか、とてもにくい演技をする。
須賀くんみたいなソツのなさは感じないけど純粋に健気でかわいい。
あと、安藤の女子高生役は無理があると思ったが、篠原涼子は思ったよりよかったね。
原作ではありえない設定だったけど(^^;)。
この人、結婚してからやっと本来の才能が開花したような感じがする。
今後の活躍にも期待しますよ。
・・・とまあ結局この映画、原作ファンはあんまり期待して観ちゃダメな映画かもしれない。
ただ、話の展開はダイナミックなので(!)少なくとも眠くなる映画でないのは確か。
期待せず観に行けば、映画の前半で十分元が取れます(^^;)。
子役にほぼ確実に泣かされますから。
後半は「中島ひろ子・・・いつからオバさん役ができるようになったんだ?確か前回観たのは女子高生役だったような気が・・・いや、気のせいか?」とか「そういえば篠原涼子って歌手だったな・・・久しぶりの歌声もいい・・・でもフレットを握る左手が死角になって映らないのは何故だぁ〜!!!」とか「海水に張り付いた西村の髪の毛・・・かなりイタイなあ」とか思いながら鑑賞しておけばいいかも?!
マンガの方は第一話のカエルのシーンでもうダメでした・・・。苦手なんですよ、カエル。
でも面白そうだな〜とは思いつつ、結局それっきり見てません(笑)
原作つき映画、ヤバイですよね。
模倣犯とかみたいに最初っからダメダメな雰囲気で、最後に全てをぶちこわして、怒る気力もなくなるってパターンならまだよくて、今回みたいに途中までいい感じで、後半失速するパターンは余計に辛い。
記憶にある中では「異人たちとの夏」とかはそれでしたね。
前半は結構いい感じでジーンとくるんだけど、後半は安っぽいC級オカルト映画になってしまって、そのあまりの落差に途中で監督変わったのかと思いました(笑)
でも、この作品は小説もそんな感じなのである意味原作に忠実なのかも。
原作のマンガは面白かったですね。
別にファンじゃなかったんですが、たまたま近くに「一色まことオタク」の友人がいて、半強制的に読まされていました(^^;)。
以前深夜枠でアニメも放送されていて、これも結構原作に忠実だったためかファンには好評だったようです。
でも映画は2時間ですからね。
この時間枠の中で原作のファンを納得させながら、それ以上の感動を叩きだそうってのは、かなりの技術がいるんでしょうね。
そう言う意味では確かに「原作つき映画、ヤバイです」。
少なくとも原作ファンに関しては、観覧後のとてつもないダメージを考慮に入れて、極力観ない方がいいとは思うのですが・・・なかなかそうはいかないのが難しいところ。
その辺りのファンの心理を巧妙についたマーケティングに抜かりはないようですね。
ところで模倣犯、「やっぱり」でしたか(^^;)。
噂では聞いていましたが。
最初っからダメダメな雰囲気でしたか。
でも世の中、上には上があるようで。
恐いもの見たさというのもあって、死ぬまでに一度デビルマンを観ておきたいなと思っています。
TBありがとうございました。
迷宮映画館のsakuraiと申します。
最近の映画は本当に安易に原作モノを借りてきて、無残にしてしまう、という構図が多いのですが、
この映画は珍しく何にも知らないで見ることが出来ました。
なんの予備知識も前評判も知らずに見たのですが、そう言う人間にはとっても新鮮でした。
でも原作は読まないでおこうと思ってますが、どうでしょうね。
>sakuraiさん
コメントありがとうございます。
映画から原作へ・・・って流れであれば、それはもう是非お勧めしますよ。
映画の前半、運動会のエピソード並みの話が、原作にはいっぱい詰まってます。
僕は日頃ほとんどマンガは読まないんですが、これは一気に読まされました。
で、やっぱ今回の件に限らず、一般論として映画と原作は別モノと考えておいた方がいいんでしょうね。
実は原作にとらわれないで、監督の撮りたいものを自由に撮った映画の方が作品としては成功してるような気がします。