いや、目頭がグッと熱くなるとか、堪えきれずに涙が一筋ツーッと頬を伝うとか、そういうことは今までも何回かはあったんだけどね。
そういう映画は確かにいくつかあった。
でもこの「百万長者の初恋」みたいに涙は止まらんわ鼻水は垂れてくるわでその対処に苦慮した映画は他にない。
これまで、映画館で鼻をすするオバさんを「大したシーンでもないのにバカじゃね〜の?つーか五月蝿い!」って小バカにしてたんだけど・・・ちょっと反省。
「30後半のオッサンが・・・みっともない!」というのは百も承知なんだが、わかっていても涙腺のツボを突かれたかのように涙が溢れてくる。
そう。
ホントに涙の出るツボを気持ちよく突かれてるみたいだった。
この映画。
話の構成とか演出とかものすごいベタで、取り巻きのクラスメートの演技なんか学芸会レベルのお粗末なものなんだけど・・・このヒロイン役のヨンヒがそういう映画のマイナス部分を全部ひっくるめて「プラス」にしちゃうくらいの存在感なんだよね。
ヒロインが素晴らしいと(^^;)。
キャラクターとしては今大流行の(?)ツンデレを地でいってるような役柄なんだけど、その佇まいが「デビューしたての冨田靖子と減量したほしのあきと目の吊り上がってない田中麗奈を足して3で割ったような」感じで、その・・・要は俺の琴線を爪弾くわけさ(^^;)。
いまどきこんな女はいない!絶滅したはず!有り得ない!っていうのを、そのまんまスクリーンに「バーン!ど〜だ!これでもか!」って感じで見せつけてくるのね。
で、俺は参った〜降参と。
ある種のファンタジーですな。
それは充分わかってるんだけどそれでもやっぱりその世界に引き込まれてしまう。
作り物のドラマだってのをわかりながら泣いてるんだよね。
なるほど、これが韓流ドラマってやつなのかと今日初めて認識した。
今までも「三人寄ればなんとやら〜映画編〜」で何本か韓国映画は見てたけど、恋愛と言うか純愛映画は今回初めて。
四様とかウォン便とかってギャーギャー騒いでる婦女子の皆様方に、俺も今までは冷めた視線を投げ掛けてたクチだったけど・・・なるほど、彼女らが韓国ドラマにハマる気持ちがなんとなくわかった気がした。
少なくともこの映画の制作スタッフは、監督や脚本家はもちろん、美術や大道具さんも皆、「客を泣かすツボ」を知ってるんだなと実感した。
確信犯ですよ。
当たり前だけど。
何処をどういうふうに押せば、どれくらい観客の涙が流れるかってのを全部計算できてる(^^;)!
この映画、繰り返しになるけど脇役はほとんどが下手、ストーリーは陳腐だし演出も部分部分はベタなありふれてるものばかり。
最後のドンデン返しもあらかじめ予想できるような弱っちーものだったし、俺のいつもの映画の基準で考えるとその部分部分については平均点以下かもしれない。
しかし、例え陳腐ではあっても、その登場人物に似合った演出を無駄なく積み重ね、それにあった台詞と舞台装置をしっかり選んでるんだよねえ。
このあたり、日本映画がまだ到達できてない部分のような気がする。
監督と脚本家と役者とスタッフとスポンサーが、それぞれ微妙に違ったベクトルで映画作ってる部分があるのよ。
日本の場合。
それがこの映画に関して言えば「観客をいかにして泣かすか」ってことに目的が絞られていて、関係者はみんなその目的に合わせて自分のベクトルを調整してるんだよな。
この映画、そういう高度な職人技がひとつに結実した成果物であるのはほぼ間違いないと思う。
確かこれ、東京だと2月2日までの単館上映だったよ〜な気がする(地方はこれからかな?)。
なので久々に映画館で泣きたいって人は、新宿のテアトルタイムズスクエアに急ぐべし(午前上映のみ)!